 小児腎臓疾患
                小児腎臓疾患
            
            
腎臓ってなあに?
腎臓は腰より少し上の背中側に左右2個あり、だいたい握りこぶしくらいの大きさです。からだの中の不要なものを尿として排出し、からだの中の水分や電解質(ナトリウム・カリウム・クロール・カルシウム・リンなど)の量が一定になるように調整しています。
当院でできること
当院副院長は、日本小児科学会・日本腎臓学会の専門医です。
小児科および小児腎臓科の専門医として、専門性を活かした適切な治療をご提案いたしますので、一度ご相談ください。
当院は3歳児検尿、京都市立学校の三次検尿医療機関となっております。検尿異常を指摘された場合や、水腎症、尿路感染症、腎炎、ネフローゼ症候群、夜尿症(おねしょ)などに対応しています。尿の色や量、身体のむくみが気になるときは、ご相談ください。
検尿での異常があった場合
学校や園の検尿、3歳児検尿で異常を指摘された場合
できるだけ自宅で尿を取ってご持参ください。健康な学童の10%程度に体位性蛋白尿(横になって安静にしているときにはみられず、起きて立っているとき、歩いて動いているときにみられる生理的な蛋白尿)がみられます。
学校検尿で異常を指摘された場合は、体位性蛋白尿の除外のため、早朝第一尿(就寝直前に排尿して、起床直後に採取した尿)をご持参ください。
小児の主な腎臓疾患
血尿・蛋白尿
血尿や蛋白尿は、検尿で初めて見つかることが多く、お子さん自身が症状を感じることはほとんどありません。
血尿には、腎臓の中にある尿のもと(原尿)を作っている糸球体というところから出ている血尿(糸球体性血尿)と腎臓より下の尿路から出ている血尿(非糸球体性血尿)があります。血尿だけの場合は、定期的な経過観察でいいことも多いです。
蛋白尿には、動くと蛋白尿がでる体位性蛋白尿という病的意義の少ない病態も含まれます。
血尿、蛋白尿ともに認める場合は腎臓に何らかの病気が隠れている可能性があります。
学校や園での検尿で異常を指摘された際には、尿検査・血液検査・超音波検査などを行い、適切な治療をご提案いたします。
溶連菌感染後糸球体腎炎
溶連菌に感染してから2週間前後で発症する急性の腎炎です。尿の量が減ったり、コーラ色の尿(血尿)が出たり、顔や足のむくみなどの症状が見られます。血圧が高くなることや、まれに重症化することもあるため、入院治療が必要となることがあります。溶連菌感染後はむくみや尿の色に注意してください。
慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)
尿検査で1年以上異常が認められる状態をいいます。学校検尿でみつかるものでは、IgA腎症が最も多く、正確な診断のために、腎臓に針を刺して組織を調べる「腎生検」が必要になることもあります。顔や足のむくみや、血尿(コーラ色の尿)で気づかれることがありますが、ほとんどは学校や園の定期検尿で見つかります。早期に気づくことが大切ですので、検尿の結果に異常があれば、受診してください。
ネフローゼ症候群
身体の中から大量の蛋白が尿に出て、むくみ(浮腫)がひどくなる状態のことをいいます。腎炎で見られることもありますが、お子さんの場合、微小変化型ネフローゼ症候群のことが多いです。定期検尿で見つかることもありますが、急に体重が増えて元気がないと受診されることが多いです。
水腎症・水腎水尿管症
腎臓で作られた尿の通り道が狭くなって、腎臓で作られた尿をためておく腎盂が腫れる状態を水腎症、膀胱の手前が狭くなって腎盂と尿管が腫れる状態を水腎水尿管といいます。お母さんのおなかの中にいるときに超音波検査で指摘されたり、尿路感染(腎盂腎炎)をきっかけに見つかることがあります。自然に治っていくこともありますが、尿検査・血液検査・超音波検査などを行い、適切な治療をご提案いたします。
尿路感染症
上部尿路感染症(腎盂腎炎や急性巣状細菌性腎炎(AFBN))と下部尿路感染症(膀胱炎)があります。上部尿路感染症を繰り返す場合、膀胱に溜まった尿が腎臓に逆流している(膀胱尿管逆流)ことがあります。繰り返すと逆流性腎症といい、将来的に腎臓の機能が悪くなることがあるため、適切な治療をご提案いたします。
夜尿症
5歳未満のこどもでは、おねしょ(寝ている間の尿もれ)といいますが、5歳以降で月1回以上のおねしょが3か月以上続くことを「夜尿症」と言います。
寝ている間に作られるおしっこの量が多すぎたり、膀胱に尿が十分ためられないことが関係しています。夜尿症の場合、尿があふれそうになっても起きられないため、寝ている間に尿もれをしてしまいます。
日本のこどもでは、7歳で10%に夜尿症があるといわれており、成長とともに自然に治癒することが多いです。しかし、1週間に夜尿が3回以上ある場合は3回未満と比べて治りにくいと言われているため、お子さんやご家族が困っておられる場合には治療の選択肢もあります。
